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丸亀製麺はなぜ値上げしても支持されるのか?「打ち立て・できたて」が待ち時間を価値に変える理由
値上げ局面でも支持が落ちにくい理由をどう見るか
外食では、値上げは基本的に不利です。安く食べたい人が多いなかで、価格が上がれば離れる客も出やすくなります。
それでも丸亀製麺は、値上げ局面でも大きく支持を失っていないように見えます。ここには、単にうどんが人気というだけではない、価格が上がっても納得されやすい売り方の設計があります。
特に注目したいのが、「打ち立て・できたて」という体験です。人は待ち時間そのものを嫌うというより、理由の分からない待ち時間を嫌います。
丸亀製麺はこの点で、待っている間にも価値が進行しているように感じやすい設計になっていると考えられます。ブランド全体の考え方は、公式サイトでも確認できます。
https://jp.marugame.com/concept/
「打ち立て・できたて」が価格の納得感につながる仕組み
値上げが受け入れられるには、「高くなった」ではなく「この価格なら納得できる」と思ってもらう必要があります。丸亀製麺の強みは、その理由を言葉だけでなく、店頭体験で伝えている点にあります。
麺を打つ、茹でる、盛り付けるという流れが見えることで、価格と品質が結びつけて受け止められやすくなります。見えない品質は伝わりにくい一方で、見える品質は理解されやすいと考えられます。
これは、いわば価値の可視化です。実際に公式サイトのメニューページでも、商品写真や説明から、できたて感を意識した見せ方がうかがえます。
待ち時間をマイナスではなく期待に変えるライブ感
普通の店なら、列に並ぶ時間はストレスになりがちです。ですが丸亀製麺では、並んでいる間に調理の音や湯気、天ぷらの並び、店内の動きが自然と目に入ります。
すると待ち時間は、何も起きない空白ではなく、「もうすぐ食べられる」という期待が高まる時間に変わります。待たされている感覚よりも、できあがりに近づいている感覚が前に出るからです。
この感覚は、オープンキッチンで指摘される効果とも重なる可能性があります。料理ができるまでの過程が見えると、体感時間が短く感じられることがあります。

動画で見ると、このライブ感の意味はさらに分かりやすくなります。実際の調理風景や提供の流れは、写真よりも時間の連続性が伝わります。
セルフ形式でも満足度が高い理由を行動導線で考える
丸亀製麺はセルフ形式です。一般的には、客が自分で動く場面が多いほど、サービスを簡略化しているようにも見えます。
ところが実際には、それがむしろ体験への参加感につながっているとも考えられます。注文し、商品を受け取り、天ぷらを選び、会計へ進む流れが、短い体験イベントの連続になっているのです。
ここで大事なのは、導線に迷いが少ないことです。一般に、人は複雑な待ち方には不満を持ちやすい一方で、次に何をするかが見えているとストレスが減るとされます。
サービス設計では、この見通しのよさが満足度に直結します。行列や待ち時間の心理は、他業態でもよく研究されています。

他の飲食店でも使える「待つ意味」の作り方
この考え方は、うどん業態だけの話ではありません。たとえばベーカリーなら焼き上がりの香り、カフェなら抽出の音、ラーメン店なら仕上げの所作など、待っている間に価値が進行していることを感じさせれば、待ち時間は単なる損失になりにくくなります。
応用のポイントは3つあります。できたて感が目に入ること、待ち時間の先にある価値が想像できること、並んでいる間も小さな刺激が続くことです。
- できたて感が目に入ること
- 待ち時間の先にある価値が想像できること
- 並んでいる間も小さな刺激が続くこと
店頭演出や顧客体験の設計を考えるうえでは、体験価値をどう見せるかを整理して考えることが役立ちます。
画像で店舗体験の要素を見ると、音や湯気、手元の動きのような、静止画でも伝わるシグナルの重要性が見えてきます。

価格競争に巻き込まれない発想を丸亀製麺の事例から学ぶ
マーケティング初心者にとって、この事例の学びはシンプルです。値上げに強いブランドは、価格を正当化する言い訳を増やしているのではなく、価格に見合う体験を先に感じさせています。
つまり、「高いか安いか」の勝負だけではなく、「その時間に何を感じたか」の勝負に持ち込んでいるということです。待つ意味が伝わると、価格への受け止め方も変わってきます。
丸亀製麺の強さは、商品、オペレーション、見せ方が同じ方向を向いていることにあります。打ち立て・できたてを掲げるだけでなく、実際にそれが見え、伝わり、待つ時間の意味になっています。
この一貫性は、値上げ局面でも支持が大きく崩れにくい一因になっている可能性があります。値上げや価格改定の告知で離脱が不安な初心者マーケターにとってのヒントは、価格を説明する前に、価格上昇を補う体験価値を1つ言語化することです。自分の仕事や店に置き換えるなら、「お客さんが待っている間、価値は見えているか」と考えると整理しやすくなります。
価格を下げる前に、待ち時間や接点の見せ方を変える余地がないかを見直す価値は大きいはずです。関連する映像事例として、店舗のライブ感や調理の見せ方は動画でも観察できます。