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役職で狙えるのに、なぜズレるのか

マーケメディア

LinkedIn×Amazon DSPで役職ターゲティングできても、CTVでズレる理由

LinkedIn×Amazon DSP連携は、ターゲティング精度の高さとして注目されやすい一方で、B2Bではむしろ購買温度の設計が難しいテーマです。「会社属性が合う」「商談につながりやすい」「今すぐ検討している」は、似て見えても別物です。ここを同じものとして扱うと、役職ターゲティングが優秀であるほど、むしろ期待とのズレに気づきにくくなります。

最近は、Amazon DSPでLinkedIn由来のプロフェッショナル属性を活用できるケースもあり、対象となる属性や提供地域、CTVを含む在庫への適用可否には条件があるものの、B2B広告やABMの選択肢として話題になることがあります。たしかに魅力的な選択肢ですが、初心者マーケターほど「役職で絞れるなら、かなり確度が高いはず」と考えがちです。

LinkedIn Marketing Solutionsの説明を見ると、プロフェッショナル属性を活かした広告活用の強みが分かります。

ただ、役職が合っていることは、あくまで「その人がどんな会社にいて、どんな立場にあるか」に近い情報です。そこから先の「今、課題を感じているか」「比較検討を始めているか」「社内で話が進みやすいか」は、別に見ないと判断を誤ります。

Amazon DSPでLinkedInの役職セグメントをCTVに使うと何が見えて、何が見えないか

まず前提として、Amazon DSPは多様なシグナルを使ってディスプレイや動画、CTVに配信できる仕組みです。Amazon DSPの公式説明を見ると、こうした配信設計の全体像がつかみやすくなります。

ここに、LinkedIn由来のプロフェッショナル属性が利用できる提供形態では、「見せたい会社に近い層、見せたい立場に近い層へ届きやすくする」設計がしやすくなります。もっとも、CTVでは個人単位で厳密に保証されるというより、デバイスや世帯、推定を前提にした到達として捉える必要があります。これ自体は大きな進歩で、B2B初心者が注目するのも自然です。

ただし、CTVで見えやすいのは主に「どんな属性の人に接触しやすいか」を推計ベースで評価した結果です。逆に言えば、「その人が今どの購買段階にいるか」までは、役職情報だけでは十分に分かりません。

CTVの基本的な考え方については、Amazon Adsのガイドも参考になります。到達できることと、すぐ商談化しやすいことは分けて考える必要があります。

役職が合っていても、B2Bの商談や比較検討に近いとは限らない

同じ「部長」「責任者」という肩書でも、全員の温度感は同じではありません。すでに導入比較を始めている人もいれば、まだ課題を言語化できていない人や、来期まで予算が動かない人もいます。

つまり、役職は「肩書の近さ」を示しても、「今の検討度」や「社内で進みやすい状態」までは保証しません。B2Bの購買は関与者が多く、個人の関心だけで進まないことも多いためです。

Gartnerは、B2B購買行動の複雑さを繰り返し指摘しています。意思決定が単純な1対1ではないことを理解しておくと、このズレはかなり見えやすくなります。

https://www.gartner.com/en/sales/insights/b2b-buying-journey

たとえば、IT企業の情報システム部長に届いたとしても、その人が今すぐツール更改を検討しているとは限りません。反対に、役職が少し下でも、現場で課題が切迫していて比較を進めている担当者のほうが、商談の入口を作ることがあります。

CTVで起きやすい「見る人」と「決めるタイミング」のズレ

CTVは、スマホや検索広告とは接触の文脈が違います。テレビ画面では認知を広げたり印象を残したりしやすい一方で、その場で資料請求や比較検討に進むとは限りません。

そのため、テレビ面の動画接触は強いリーチを持つ一方、行動導線は他面と組み合わせて考えることが重要です。

ここで初心者が陥りやすいのが、「狙った役職に見せた」ことと「商談に近い人に届いた」ことを同じにしてしまうことです。実際には、視聴しているタイミングはリラックス中かもしれませんし、業務課題を整理している最中ではないかもしれません。

だからCTVが弱い、という話ではありません。むしろ、認知向けの接点として、検討のかなり手前にいる相手へ自社を候補に入れるきっかけを作る面としては強いです。

ただ、その役割を超えて、いきなり下流成果の中心指標として見ると、評価はズレやすくなります。

役職ターゲティングを成果保証と誤解すると起こる設計ミス

初心者がやりがちな設計ミスは、大きく3つあります。

  • 役職精度の高さを、そのまま商談精度の高さだと思ってしまうこと
  • CTVの役割を認知面ではなく、刈り取り面として見てしまうこと
  • 配信後の評価指標を狭く置きすぎること

たとえば、配信直後の問い合わせ数だけで良し悪しを判断すると、テレビ面の貢献を見落としやすくなります。Amazon AdsのCTV活用ガイドを見ると、上流の認知やリーチをどう下流指標とつなぐかが重要だと分かります。

このとき初心者ほど、「ターゲティングが正しいのに成果が弱いなら、クリエイティブだけの問題だ」と結論づけがちです。もちろん表現も重要ですが、そもそも「今動く人の多さ」と「役職の合致」が一致していないなら、広告表現だけでは埋まらないズレがあります。

会社属性と購買温度を分け、CTVの役割を3段階で決める

実務では、少なくとも3つを分けて考えると整理しやすくなります。

  1. 会社属性:狙いたい業種・企業規模・役職か
  2. 商談につながりやすさ:社内で話が前に進みやすい状態か
  3. 購買温度:今まさに情報収集や比較をしているか

たとえば、SaaS企業がセキュリティ製品を売るケースを考えてみましょう。大企業の情報システム部門マネージャーにCTVで配信するのは、会社属性の観点では正しいかもしれません。

ですが、商談につながりやすさを見るなら、直近で体制変更や監査対応がある企業のほうが有利です。さらに購買温度を見るなら、関連キーワード検索や比較資料閲覧など、別シグナルも合わせて見たくなります。

B2B Instituteの知見でも、B2Bでは長期の需要形成と短期の獲得を分けて考える重要性が示されています。

この整理を持つだけで、役職ターゲティングの見方はかなり変わります。役職セグメントは「入口の精度を上げる道具」として優秀です。

ただ、それだけで商談化や購買温度まで読めるわけではありません。LinkedIn×Amazon DSP連携を使うときは、ターゲティング精度の高さだけで評価せず、自社のB2B訴求を認知向け比較入り口向け商談直前向けの3段階に分けて、CTVにどこまで担わせるかを先に決めることが重要です。

初心者マーケターほど、この3つを分けて設計し、CTVは需要を育てる役割も持つと理解しておくと、大きな判断ミスを避けやすくなります。

In this article
LinkedIn×Amazon DSPで役職ターゲティングできても、CTVでズレる理由
Amazon DSPでLinkedInの役職セグメントをCTVに使うと何が見えて、何が見えないか
役職が合っていても、B2Bの商談や比較検討に近いとは限らない
CTVで起きやすい「見る人」と「決めるタイミング」のズレ
役職ターゲティングを成果保証と誤解すると起こる設計ミス
会社属性と購買温度を分け、CTVの役割を3段階で決める