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ホウボウは、なぜ“歩くひれ”で味まで見るのか――海底を探る3本の指が脚ではなくセンサー寄りになった理由
歩いているのに、脚らしくないホウボウの違和感
ホウボウを見ると、まず「魚なのに歩く」が先に来ます。けれど実際の動きを見ると、印象は少しずれます。
脚のように体を持ち上げて進むというより、海底をそっと探りながら前へにじむ。歩行というより、探索です。
実際の動きを見ると、この胸びれは移動だけでなく、海底の情報を拾う感覚器としても働いているのではないか、という見方が自然になります。
実際の動きはこの映像がわかりやすいです。ひれの先が地面を確かめるように動いていて、ただの“足つきの魚”では終わらない感じがあります。
水中カメラの画角を意識したようなUターンが、まるでプロのモデルさんみたいですね。
Uターンした後に広げて見せてくれたヒレが青くて綺麗です。
※この映像はニコニコ動画で生放送中(水の中から釣り気分No.32)に撮影したものです。生で見てると臨場感も味わえますので興味ある方はコチラ( http://com.nicovideo.jp/community/co1726036 )もチェック。
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It's a very beautiful and funny fish.
I like the blue fin and the fin looks like a foot.
【映像No.:Y0248】

ここで気になるのは、なぜこの3本が“脚”として強くなる方向ではなく、“触る器官”として残ったのかという点です。
ホウボウの変さは、歩けることそのものではなく、歩くための部品が歩行専用に見えないことにあります。
3本の指は、移動しながら海底を探る感覚器になった
ホウボウの胸びれの下部の軟条の一部は遊離して、自由な指のように見えます。しかも使い方が面白いのです。
前へ押し出すだけでなく、左右に触れ、止まり、また触れる。移動のリズムより、確認のリズムが強く見えます。
その様子は短い映像でも十分伝わります。海底を“歩く”というより“読んでいる”感じが出ています。
この器官の先端には、触覚に加えて化学物質を感知する受容器があり、味覚に近い化学感覚の情報処理を行うとされます。
だからホウボウにとって海底は、ただの床ではありません。砂の表面は、そこに何が埋まっているかを知らせる情報の膜になっているわけです。
ひれを泳ぐ器官だと思っていた読者ほど、この分業は印象に残ります。ホウボウでは胸びれの一部が、推進より探索に寄った役目を担っているからです。
砂の中の獲物を探すなら、速さより触れて確かめる力が要る
砂に潜る獲物は、視覚だけでは見つけにくいことがあります。獲物が露出していれば目でも追えますが、実際には小さな甲殻類や底生動物が半分埋まり、じっとしています。
ここでは、推進力の高い移動器官より、地面を細かく探れる感覚器官としての機能が有利だった可能性があります。
ホウボウが餌を探す映像では、その合理性がよく見えます。指のようなひれを忙しく使いながら進み、獲物を察知すると一気に反応します。
2023/11/24 西伊豆大瀬崎にて撮影。水温20°C。
学名:Chelidonichthys spinosus (McClelland, 1844)

つまりホウボウの3本は、移動のための脚としては少し中途半端でも、海底探索のセンサーとしてはかなり都合がいいのです。
体を浮かせて泳ぐ魚と、地面に依存する底生魚の中間にあるようで、実際にはかなり海底寄りの情報戦をしています。
味まで感じるひれが、目だけでは足りない近距離を補っている
「味で見る」という言い方は少し変です。でもホウボウには、それがいちばん近い気がします。
目は遠くを捉えられますが、砂の下に隠れたものには限界があります。そこで、触れて、化学的な手がかりまで読むひれが前線に出ます。
この特徴を紹介した水中映像でも、ひれの先端が“足”より“感覚器”として説明されています。
再生リストhttps://youtube.com/playlist?list=PLZUz5vSsQSqDoRSjqMKHuPWKZqnoILXwh
水中映像素材検索ページ:https://www.azarasi.jp/aq-video-top.html
ホウボウは海底を歩いているように見えますが、足のように見えるのは胸鰭の骨が変化したものです。先端には味や振動などを感じ取る感覚器官があり、砂の中の獲物を探しながら進んでいます。獲物を察知すると、砂に頭ごと突っ込み、大きな口で丸飲みにします。 大きくて美しい鰭もホウボウの特徴です。敵を驚かせるために広げると考えられていますが、ダイバーに効果はありません。
ホウボウは上品な白身の肉質で、刺身や唐揚げ、鍋物など様々な料理に利用されます。大西洋でも水揚げされ、ヨーロッパでも食用にされ世界で食される歩く魚です。
魴鮄
Bluefin sea robin
Chelidonichthys spinosus
撮影地:静岡県伊東市富戸 水深5〜12m
©aquaitic.pro / dive@azarasi.jp
#水中映像
#ホウボウ
#魚
#歩く
#味覚

海底では、見えることだけが情報ではありません。むしろ、見えないものをどう確かめるかが重要です。
ホウボウのひれは、目を置き換えるわけではないけれど、目だけでは足りない近距離の世界を補っています。だから、脚に近づくというより、センサーとしての機能が強く選ばれた可能性があります。
脚になりきらなかったことが、むしろホウボウをホウボウにした
これは思考実験ですが、もしこの3本が本格的な脚のような構造になっていたら、ホウボウはもっと力強く歩けたかもしれません。でも、その代わりに失うものもあった可能性があります。
細かく触れ、味を拾い、底を探る自由度です。一般に、強い支持や推進に特化すると、繊細な探索能力と両立しにくい可能性があります。
このあたりは、派手な胸びれとの対比で見るとさらに面白くなります。広げると目立つのに、海底ではかなり地味に情報を集めています。
Bluefin searobin at Underwater Aquarium Sea Donut

見せるひれと、探るひれが同じ体にある。映像で見ると、その落差がよくわかります。
進化はいつも「高性能な万能機」を作るわけではありません。環境の中で必要な仕事に合わせて、半端に見える形をいちばん強い形にしてしまうのです。
ホウボウの3本指は、その好例です。
ホウボウを“海底を読む魚”として見ると姿がまとまる
ホウボウを“歩く魚”として見ると、少し変わった魚で終わります。でも“海底を読む魚”として見ると、あの形が急にまとまります。
脚のように見えるのに脚ではなく、ひれなのに泳ぐためだけでもない。その曖昧さ自体が、海底という環境にぴたりとはまっているのです。
別の短い映像でも、ホウボウは前へ進むたびに海底へ問いかけているように見えます。
Tokyo Sea Life Park.葛西臨海水族園。
ネットのしじま(いたざわしじま公式blog)
http://kuzukago.exblog.jp/
どうぶつの赤ちゃん
http://freett.com/animalbabys/

たぶんこの魚の面白さは、「魚なのに歩く」では足りません。
正確には、歩くように触れながら、見えないものを読んでいる。ホウボウの3本の指は脚の未完成版というより、海底探索に特化した形質として理解できます。
歩行と探索が一体化した例として見えてきたら、次はほかの底生魚や感覚器の分業を扱う記事と読み比べると、この形の意味がさらに見えてきます。
